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スポーツ照明基準 17-18(20-21)

概要

  1. 体育館(屋内運動場)の照明基準
  1. 17
  2. 18

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グレアとは、光源の輝度が競技中や観戦中に目に入ると、見ようとするものが見づらくなったりする現象です。不快グレアは、競技者や観客にとって、視覚的な快適さを妨げる大きな要因となりますが、視線に対する器具の配光、位置、照射方向の設定によって低減することが可能です。アリーナ全体の雰囲気をつくりあげる光色と、物体の色の見え方を左右する演色性は、照明光源のなかで、それぞれ重要な特性のひとつとなります。光色は色温度(K)で示され、色温度が低いほど、暖かい赤味がかかった色のイメージを与え、高くなるほど涼しい青味がかったイメージとなります。一般的には、3000K∼6500Kの範囲であれば問題はありません。演色性については、平均演色評価数Raで表されますが、高度なレベルの試合が行われる屋内施設ほど、色ずれの少ない平均演色評価数の高いランプが求められます。また、テレビジョン撮影ではRa80以上が必要になります。■テレビジョン撮影の光源の色温度と 演色性(JISZ9127)色温度6500∼3000Kの範囲平均演色評価数(Ra)80以上競技区分水平面照度の平均値(lx)照度均斉度公式競技750以上0.7以上0.6以上一般競技500以上レクリエーション200以上0.5以上注)照度均斉度は、水平面照度の最小値/水平面照度の平均値を示す。※バドミントンは300lx以上■水平面照度の平均値及びその均斉度(JISZ9127)■テレビジョン撮影のための空間照度(JISZ9127)撮影距離空間照度(lx)25m70075m1000150m1400体育館は、専用体育館と多目的体育館に分類することができますが、ほとんどが多目的体育館です。多目的体育館は規模に応じてさまざまな用途で利用されます。バレーボール、バスケットボール、バドミントンなどのスポーツや講演会やコンサートなどといった催物にも利用されます。そこで体育館の明るさは、その中でいちばん明るさを必要とする用途に設定し、かつ、いちばん暗くして利用する明るさまで変化ができるようにしなければなりません。また、明るさに応じて明るさのムラ(均斉度)まで考慮した設備にする必要があります。一般的には、施設の使用目的や特性によって、次の3分類に分けることができます。①公式レベル・・・公式試合、テレビ放送のできる施設②一般的レベル・・・アマチュアチームの試合や練習のための施設③レクリエーションレベル・・・レクリエーションやイベントのための施設照度と均斉度演色性グレア照度体育館(屋内運動場)の照明基準(バレーボール・バスケットボール・バドミントンなど)17※対象物(ボールなど)が小さく速い場合は、対象物が断続的に見えてしまうストロボスコピック現象が引き起こされるケースがあります。レクリエーション程度の競技では、競技に支障をきたすことはありませんが、テレビ中継においては顕著に現れることがあります。光源は、競技が快適に行えるとともに、経済性、維持管理の容易さが重要な選定要素となるので、高効率で光束維持率が良く、寿命の長い、LEDがおすすめです。光 源ストロボスコピック現象屋内スポーツ施設の照明にとって、競技面と天井高さの関係は、照明器具の選定に大きく左右します。基本的には、効率と照度分布が良くなる配光特性を持ったものを選ぶ必要がありますが、設置場所の制約を考慮して、①分散配置②サイド配置③分散配置とサイド配置の併用を決定していかなければなりません。分散配置をする場合は、取付間隔と取付高さも重要となり、照明用反射笠に定める1/2照度角の範囲内で取付間隔をとり、バレーボールなど高い競技空間を使用する時には、ネット上端の高さで1/2照度角を得られるよう配置します。サイド配置の場合は、競技場の端の床面から仰角30゚以上の位置に照明器具を配置します。また、ボールなどの競技用具から照明器具を保護する配慮も必要になります。照明器具の選定と配置■分散配置における照明器具の 取付間隔■サイド配置における投光器の 取付高さH=照明器具取付高さ※θは1/2照度角で、ネット上端の高さで 1/2照度角を満足するようにする。※競技場の端の床面から仰角30度以 上に設置する。取付間隔照明器具照明器具H=照明器具取付高さネットHH競技場の幅30°■照明器具の配置照明器具の配置照明器具の配置例断面図◎○○◎◎○○○◎○◎◎平面図小型・中型の屋内運動場大型の屋内運動場テレビジョン撮影を意図とする屋内運動場分散配置サイド配置分散・サイド配置併用備考)◎は適している、○は使用してよいを示します。反射笠または投光器を複数個まとめて、大型の装置として天井全体に分散配置する。反射笠または投光器を1台ずつ天井全体に分散配置する。競技場の両サイドに投光器を列状に配置する。分散配置のいずれかとサイド配置を組み合わせる。
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18体育館(屋内運動場)の照明基準(バレーボール・バスケットボール・バドミントンなど)■10-1電源停電が原因で、試合を中止または延期せざるを得ない状況は許されません。比較的電力供給が安定的である我が国では想定しにくいですが、海外や国際イベントなどの場合、一般系電源に対する慎重な評価とともに、バックアップ電源の使用とライドスルー能力についても検討を求められる場合があります。バックアップ電源には、試合中の施設を維持できる十分な能力が必要です。その場合、系統電源をそれぞれ常時電源とバックアップ電源として使用するか、マニュアルまたは自動のタイスイッチで配電を切り替え、両系統を常時電源として使用するやり方が考えられます。系統電源に異常が発生した場合、バックアップとしてオンサイト電源がすぐに作動する必要がありますが、タイムラグは避けられません。したがって、バックアップ電源には、その作動までの数分間、照明を維持し、放送の中断を回避するためのライドスルー能力が求められます。ライドスルー能力としては、専用発電機や無停電電源装置(UPSシステム)などさまざまな方法が考えられます。なお、バックアップ電源には、停電時も最低3時間は作動できる能力が必要とされています。ライドスルー能力は緊急時の避難では無く、主としてイベントの継続に必要となるため、イベント用とライフセーフティシステムとの配電を分離する必要があります。また系統電源とバックアップ電源の設置に必要な設備スペースについても、その配分計画が必要です。アリーナの施設維持のためにも、ライドスルー能力を備え、配電を切り替えることができる電源設備の実現が薦められています。10-2-1概要■10-2設備要件照明システムの主な目的は、時代に応じた高画質な放送が可能なイベント照明を実現することにあります。ただし、選手他関係者に不快なグレアが生じず、観客と周辺地域に漏れ光やグレアが生じない配慮が必要です。常設照明、仮設照明、あるいは両システムの組み合わせなども検討してください。また、演出上の暗転ができるように点灯消灯がスムーズにできることも必要となります。また、暗転ができるように点灯消灯がスムーズにできることや、ピンスポットライトの使用など、演出上の照明に対応できることも必要となります。―環境フロアとアリーナ内外の漏れ光とグレアを抑制できるよう、十分な配慮を行ってください。―選手と関係者選手と関係者が十分に能力を発揮でき、試合レベルが高まるような照明環境を実現する必要があります。―観客観客が試合、スコアボード、大型映像装置、フロア上のプレイを快適に見ることができる、グレアと漏れ光のない環境を実現する必要があります。―メディア強い影やグレアのない均一な照明下で、デジタル画質の試合中継と録画が実現できるように配慮してください。10-2-5シャドウコントロール(マルチゾーン照明)フロアにできる強い影は、高精細なデジタル化画質を追求するメディアにとって最大の問題点の1つとなっています。マルチゾーン照明とは、フロアの同一の場所を複数の光源から照らす方法をいいます。各方向から照らすことで、フロアにできる選手の強い影をやわらげることができます。■10-3照明の設計仕様と技術アリーナには、時代に応じた高精細なデジタル画質放送に適した照明システムが求められます。したがって、専門家による適切な指導を受けて設計してください。10-3-1照度最低でも1,500ルクス以上の照度を持つ照明設備を設置しなくてはなりません。競技によっては2,000ルクス以上の照度を求められる大会(バスケットボールの国際レベル1大会等)もありますので、2,000ルクス以上の照度が望ましい照度です。一般的に、照度には水平方向の均一性をみる水平面照度があります。水平面照度とは、フロアから1mの高さの水平面に届く光の量(照度)のことをいいます。フロアを10m×10mのグリッドに分割し、各所の照度を計測します。そして、フロア上の最大/最小/平均水平面照度を算出します。また、アリーナスポーツはスピードを要求されるスポーツです。コート全体に均一な照明を実現することで、選手のパフォーマンスは向上し、優れた映像による臨場感あふれる放送が可能となります。その他、フロアカメラに対する鉛直面照度にも配慮する必要があります。鉛直面照度とは、選手を囲む鉛直面に届く光の量(照度)のことをいいます。鉛直方向に対する照明のおかげで、選手の顔や試合中のプレイなどの細かな動きを確認することができます。これらの画像は、手持ちタイプと可動タイプを含めたフロアカメラが捉えます。鉛直面照度にムラが生じると、デジタル画像の悪化につながります。したがって、照明システムには、フロアカメラに対して均一な照度を実現できる設計が求められます。また、固定カメラに対する鉛直面照度についても同様です。メインスタンドとバックスタンド、エンドライン裏の各カメラが捉える、コート上の鉛直方向の照明の明るさを、固定カメラの鉛直面照度と呼びます。コートをパンするこれらのカメラは、試合中にコート全体を映し出す必要があります。鉛直面照度にムラが生じると、デジタル画像の悪化につながります。したがって、照明システムには、固定カメラに対して均一な照度を実現できる設計が求められます。10-3-2色温度と演色性色温度は、一定タイプの照明がどの程度、暖かく(赤っぽく)見えるか、冷たく(青っぽく)見えるかを表します。単位には「ケルビン(K)」を使用します。最新のデジタルカメラ技術であれば、必要に応じて、画像の色やコントラストを好ましい状態に調整することができます。また、演色性(Ra)とは、人工光源が自然の色を忠実に再現できるかどうかを表す指標です。これは、Ra20∼Ra100の実用的なスケールで表され、演色性が高ければ高いほど、色の再現性が優れていることになります。人工照明システムの演色性は、テレビ放送試合、未放送試合を問わず、Ra≧65が求められます。10-4環境への配慮光害と障害光は主に、漏れ光とグレアに分類されます。漏れ光とは、アリーナから漏れ、その周辺地域に照射される光のことをいいます。グレアとは、アリーナ外の歩行者や運転者の障害となる眩しすぎる明るさのことをいいます。こうした障害は、アリーナ周辺地域の夜空を明るく照らし、住民の健康と生活に大きな影響を与えることになります。アリーナ内外の漏れ光とグレアを防ぐために、最大限の努力を尽くしてください。最新アリーナの設計にあたっては、テレビ放送試合も考慮し、漏れ光やグレアを抑えるために、シャープカットオフ反射板や高性能反射板の使用を検討してください。10-2-2照明設備の設置高さ照明設備の設置高さは、優れたスポーツ照明システムの実現に欠かせない条件です。(一社)アリーナスポーツ協議会※監修2013年10月発行※アリーナスポーツ文化の醸成によって国民の豊かな生活の実現に寄与することを目的とし、2013年6月に設立された一般社団法人です。8)照明・電力諸施設チェック表クラス別対応大規模諸機能備考照明設備フロア照明=2000ルクス以上非常用電源照明・電力◎◎は原則的に必ず設置する事項/○は設置すべき事項○◎○◎○○○○○中規模新設既設新設既設小規模本編10-310-1アリーナ標準

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