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ステージ&エンターテイメントライティング 171-172(172-173)

概要

  1. ステージライティングの基礎知識
  1. 171
  2. 172

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171舞台の構造と名称舞台各部の名称●フライズ緞帳(どんちょう)、道具、照明器具などを吊るすスペースで、プロセニアムからすのこまでの空間を称します。●フライギャラリー主舞台の側壁面に沿って舞台床面からすのこまでに数段に設置される作業床、回廊を言います。ここは吊物操作のほか、照明の作業、特殊効果の作業にも使用されます。●簀の子(すのこ)ブドウ棚ともいい、すのこ張りになっているところからきた名称です。舞台上部に位置し各種幕、スクリーン、美術バトン、照明バトンなど吊り物昇降設備の一部が設備されています。●奈落(ならく)舞台の床下の俗称で、回り舞台や迫りなどが設置される空間を称します。●アクティングエリア実際に演技が行われ、客席から見える舞台の部分を称します。●ウイングアクティングエリアの側面のスペース部分のことで、ふところとも呼ばれ、これの大きなものは側舞台となります。●シーナリスペース舞台装置を飾ったり照明器具を取り付ける部分を称します。●プロセニアム舞台と客席の境の開口部を称し、日本の古典芸能を主演目とする場合は間口が広く高さが低いものとなり、古典的なオペラハウスの場合は高さが高くなっています。●ポータルプロセニアム開口の内側に、それぞれの演目に応じてプロセニアム開口の幅と高さを調整できる機構で、上下に可動するポータルブリッジと左右に可動するポータルタワーで構成されます。また、舞台側の面に照明器具を組み込むと、有効な機能を果たします。●ホリゾント舞台後方の曲面で、天空や地平線の効果を出す背景面です。サイクロラマとも呼ばれていますが、後舞台のある場合は幕を用います。●エプロン緞帳より客席側の舞台部分を称します。エプロンが大きく客席に突き出たものは、張出舞台・そと舞台と呼ばれています。●シルバーブリッジオーケストラピットの回りに巡らされた通路舞台です。俳優をできるだけ観客に近づけて親近感をもたすために、現代のレビュー劇場では欠くことのできないエプロンステージです。●花道・鳥屋(とや)舞台から突出して客席を貫通した通路を花道と称します。花道は歌舞伎劇場独特の舞台形式として進化したもので、下手側に本花道、上手側に仮花道が設けれます。また、舞台から見て花道のつきあたりにある部屋を「鳥屋(とや)」と称し、花道へ出るための溜まりに使用され、出入り口には「揚げ幕(あげまく)」と呼ばれる幕がかかっています。●綱元(つなもと)「綱場(つなば)」とも呼びます。通常、舞台の下手または上手の壁面に設けられています。手動で吊りものを昇降させるためのスペースです。●舞台奥(ぶたいおく)観客席から見て舞台の奥の方のこと。●舞台前(ぶたいまえ)舞台奥と逆方向。観客席から見て舞台の前の方のこと●舞台端(ぶたいばな)「框(かまち)」とも呼ばれています。観客席と舞台との境界のことです。●舞台袖(ぶたいそで)舞台の下手・上手の空間のことです。通常、袖幕により観客席からは見えなくしてあります。●上手(かみて)客席から舞台に向かって右手の方向を上手と言います。●下手(しもて)客席から舞台に向かって左手の方向を下手と言います。シーリングフォロースポット室センターフォロースポット室調光操作室奈 落マシンピットオーケストラピットフライギャラリーすのこフライズギャラリーギャラリーポータルブリッジホリゾント幕ホリゾント幕裏通路舞台プロセニアム開口高さフロントサイド投光室ギャラリー上手下手主舞台ウイング(側舞台)エプロンオーケストラピットポータルタワーフロントサイド投光室花 道フロントサイド投光室フロントサイド投光室第1シーリング投光室第2シーリング投光室バルコニーライトシーリングフォロースポット室調光操作室プロセニアム開口幅ホリゾント幕第1シーリング投光室第2シーリング投光室ギャラリーセンターフォロースポット室監督室(日本建築学会劇場小委員会〈多目的ホール舞台設計資料〉彰国社刊より作成)演出照明設備を考えるとき、その用途、目的を明確にすることが重要となります。これは上演される演劇の種類や催し物の形式などにより、舞台の規模や形(プロセニアムステージなのか、オープンステージなのか)が異なるためです。また、舞台と客席をもつ演出空間は劇場、ホールばかりではなく、広くは講堂、体育館、さらには屋外の競技場や公園など多種多様です。それら演出空間の照明設備は、種々の上演種目に合わせて設計するもので、一律に「基準」という形で標準化することは困難といえます。実際の照明設計にあたっては、演出空間の建設計画の初期の段階から、舞台芸術に造詣の深い演出家、指揮者、舞台装置家、舞台照明家のチームに助言を求めなければなりません。ここでは劇場を中心に、構造と機構の名称を列記しますが、ほかの演出空間にも適用することもできます。図は近代的な劇場、多目的ホールの構造例です。側面図側面図
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172舞台演出照明の考え方設計資料演出照明の4要素① 視覚観客が劇場にくる目的は、見ること聞くことであり、舞台がどのような場面であっても、観客にはそれが正しく良く見えなければなりません。そのためには光の量と質が適正になっている必要があります。●光の量(充分な明るさを得ること)演出照明の場合、演出により光の量が変化しますので、照度基準なるものは決められておりませんが、どのような催し物にしても良く見えるだけの照明設備が必要となり、一般的に客席中央の視線を基準として最低1,000lx以上が必要です。また多目的ホールなどでTVの公開録画などがある場合は、カラーカメラの感度より考えて2,000lx以上が望ましいと思われます。●光の質(適当な照度分布、色彩等を考えること)時に応じて光を巧みに分布し、色光を与えて演出意図を正しく見せることで、たとえば光の方向、角度、パターン、色光の組み合わせ、調光などを考慮します。② 写実演劇における写実は、舞台を現実らしく観客に見せるための演出法として重要な要素になります。現代の演劇は、劇場という空間内において演出により自然界のあらゆる事象や現実の生活を観客に示し、観客は舞台上の事象や生活が現実に行われているもののように受け取り、写実的効果を一層高めます。演出照明が写実的に表現できるものとして次のものがあります。●時舞台において時を表現する要素として演出照明ほど適切なものはありません。四季の変化や1日中の時間経過などは、演出照明により昼は明るく夜は暗いという単純な場面から、暁方から朝へ、日没から夜へとごく自然に徐々に変化させていく複雑な場面まで、時の変化を自由に表現できます。●天候晴れた日、曇天、雨、太陽、月、星、雲、稲妻、雪、虹などいろいろな自然現象の描写も、演出照明はさも現実らしく表現することができます。●その他、物の描写鳥や蝶、動く乗物、魚などの水中のもの、炎、煙、花などを描写することができます。このように演出照明は、光の当て方や色光、各種効果器具を使用して舞台を写実的に演出することができます。③ 審美夕焼けや月光など、自然の情景を見て美しいと感じるのは、そこに光と影があるからです。舞台においても物に美しさを与えることは必要で、演出により美しく舞台を描写します。例えば俳優の着る衣装や舞台装置などを光の当て方や、適当な色光によって観客に美しく見せます。④ 表現演劇は心理的な要素が中心で、感覚的要素を主としたものではありません。照明効果による心理表現は、演出意図を表わす最も重要な要素です。この照明効果、すなわち明るさ、色彩の違いによる感情の表現は、単にフェードイン・フェードアウトなどの調光操作だけでも、観客にさまざまな感情を引き起こさせることがあります。たとえば演劇だけではなく、コンサートにおいても曲のイメージに合わせた照明によって聴衆をより魅了することができます。①視覚正しく見せること③審美美しく見せること④表現心理を描写すること②写実現実らしく見せること演出照明とは、単なる電気や配光の技術ではなく、光の効果により演劇や催し物を成功させる一つの芸術だといえます。それ故に演出照明家は電気や照明技術家であると同時に光の芸術家としての能力が必要とされています。演出照明を構成する要素は、次の4つが挙げられますが、それらは演出照明の「設計、操作の基準となること」「批判、観賞の対象となること」という言葉に集約されます。

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