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小田原市では、今回のLED照明の導入にあたり、個別施設単位だけでなく、市内のすべての公共施設で最適な措置を講じることで、財政負担を抑えつつ、ファシリティマネジメントとカーボンマネジメントを両立した脱炭素モデルを展開しました。また、小田原市生涯学習センターけやきは、緊急時には避難場所としての運用が想定されており、これを含めた市内の避難施設へのLED導入により、災害時の電力消費量軽減にも貢献することが考慮されています。調光システム納入事例〈ホール〉「脱炭素化推進」と「維持管理コスト低減」を実現した小田原市。公共施設でのLED化の課題と予算化のための取り組み。環境部ゼロカーボン推進課 エネルギー事業推進係長小野様公共施設でLED化が進まない最大のネックは、予算確保の難しさです。多くの自治体では、かかる費用のすべてが「コスト」と考えられており、「投資」という概念はあまりありません。そこに課題があると、私たちは考えました。例えば、「大規模改修費用」と「ランニング費用」を比べると、後者の方が安いという理由で、「延命+ランニング」を選択している現状が多いのではないでしょうか。そこには、「投じた費用は回収できるのか?」「その費用で何を生み出すのか?」という「投資」の視点がない訳です。延命を続けることが美徳のように考えられていますが、いずれ必ず「大規模改修」や「建て替え」が必要になります。その時までにかける費用に、どれだけの価値があるのか、よく考えるべきタイミングが来ているのだと思います。改修には事後対応の改修と未然に防ぐ改修があり、少なくとも舞台照明という分野では、起こってしまってからの対応では、市民の方に不都合や迷惑をかけてしまいます。また、緊急対応となれば、通常よりも工事コストが高くなってしまうケースもあります。これらのことを考慮して、LED化の早期対応が私たちのやるべき事だと捉え、計画を進めてきました。予算化に際しては、これまでのような必要性はもちろん、投資に対する果実を強く訴えました。果実とは、「今年投資をしても何年で回収できる」あるいは「今年投資すれば来年以降の電気代がこれだけ低減できる」といった機能性の向上を伴う投資に対する効果のことです。「壊れたから取り替える」ではなく、「まだ使える段階だけど次年度以降の電気代を抑制していくために改修する」といった発想で提案をしたのです。いつかは改修するものであれば、改修のイニシャルコストは同じだけかかるのだから、厳密な意味での追加コストは従来製品とLED製品の価格差でしかなく、その価格差はランニングコスト抑制分で回収できること。さらには、改修期限が近づいているのであれば、早く改修して電気代を抑制した方が、長い目で見るとコストダウンにつながること。これらを数字で示し、交付金がある今だからこそやらない手はないと訴え、事業化に漕ぎ着けることができました。■ランニングコスト低減分の試算夏季:電気料金(円/月)×23.1%×0.7=コスト減推計額(円/月)冬季:電気料金(円/月)×29.8%×0.7=コスト減推計額(円/月)上記減推計額(年間)+改修前の照明器具消耗品代金(年間)※試算式の夏季23.1%、冬季29.8%は経済産業省リリース資料「オフィスビルにおける消費電力の内訳」より。※×0.7は、直管型LEDランプ(約12W)と直管蛍光灯(約42W)の消費電力の比率による。※実際の電気料金はkWhあたり単価が一定ではないが、試算にあたっては考慮していない。また、LED化によって器具発熱量が低減されるため、夏季の空調で消費される電力も抑制されると推定されるが、試算にあたっては考慮していない。●LED化イニシャルコストをランニングコスト低減分で回収するイメージランニングコスト低減分交付金1年2年3年4年5年6年イニシャルコスト
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調光システム納入事例〈ホール〉LED化の効果LEDピンスポットライト舞台袖操作卓のパステルプレノ市民の皆さんの笑顔と安全も大きなリニューアル効果。生涯学習課主査青木様今回のリニューアルオープンに先立ち、日々のサークル活動等の成果を、新しくなった舞台照明で体験していただくイベントを開催しました。イベント終了後のアンケートでは、色彩表現の豊かさや、明るさ、新しい演出など、表現力や演出力の向上を歓迎する声を多数いただきました。特にホリゾントはくっきりと鮮やかで多彩な色を表現でき、ブルー系がきれいだと好評です。また、これまでのT型コンセントから、平行15Aコンセントに改修したことで、漏電による火災リスクを低減できたこともLED化のメリットです。現場レベルでも器具が熱くならないことによるオペレータの安全性や作業効率の向上もあり、施設全体として安全性が格段に向上し、とても安心しています。脱炭素化やランニングコストの低減ももちろん大切ですが、市民の皆さんにホールの演出性を喜んでもらえることも、市にとって大きなリニューアル効果だと感じています。演出の幅が広がりつつオペレーションの省力化を実現。舞台照明担当丹羽様今まではご希望にそった色を出せないなど歯がゆい思いをしたこともありましたが、今回のフルカラーLED化で、思い通りの色を、しかも美しい色彩で再現できるようになりました。今まで出せなかった黄色系や、きれいな青色系が特に好評で、利用者さんにもとても喜んでもらっています。先日、近隣地区の高校演劇発表会が催され、秋の夕焼けや、夏の晴天が一見してわかる色彩表現に、高校生のみなさんも感動。新たに使えるようになったストロボなどの機能も、早速使いたいと演出に取り入れていました。いままでは細かい色の設定などができなかったため、利用者さんから演出のイメージをお伝えいただいても、実現することが難しい場面もありました。今回のリニューアルで、様々な色やシーンを作れるようになり、利用者さんの描くイメージに寄り添った演出ができるようになったと思います。また、シーンの作成などにお時間をいただく場合もありますが、利用者さん自身が簡単に舞台袖から照明を操作できるようになったので、自分自身で舞台照明を自在に操る楽しみも味わっていただけるのではないかと思っています。令和8年度まで事業は継続しますが、令和5年度までに47施設の32,197灯のLED化が完了しました。二酸化炭素排出量は、令和5年度までの実績で950t、すべての事業が完了すると年間で1,628t削減できるようになります。現時点では、コロナ渦や電気料金単価の差異があって単純比較はできませんが、令和4年度に施工した5施設での電力消費量は、対前年度比で6.6%の削減効果が得られています。①脱炭素化の実現(消費電力量の低減)LEDへの転換による電気代低減はもとより、光源の長寿命化、カラー化によるランプ交換・フィルタ交換コストの削減で修繕コストの低減に寄与しています。②施設維持管理コストの低減ホールではLED化によって「脱炭素」が可視化され、普段使う公共施設の変化によって、市民が身近に「脱炭素」を感じられる機会を創出。これにより一般のご家庭での「脱炭素」の啓発につながることも考えられます。④「脱炭素」の可視化による市民への啓発に寄与個々の器具の明るさはもちろん、これまで電気代抑制のために間引きされていた場所もあり、施設全体が明るくなったと市民の皆さんからの反響がありました。③施設全体の明るさ向上
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